動物病院業界・ペット業界における人材紹介について

動物病院業界・ペット業界における
人材紹介
について

人材紹介

最近は動物病院・ペット業界にも人材紹介会社が多く参入してきています。
求職者の皆さんも、学校や国家試験の試験会場などで人材紹介会社への登録を勧められたり、
「いい就職先を紹介しますよ」
「ギフト券をプレゼントするので登録だけでも」
「友達を紹介してくれたらギフト券をプレゼントします」
などと声をかけられたことはありませんか?

もちろん人材紹介会社を利用すること自体が悪いわけではありませんが、まず理解しておかなければならないのは「人材紹介は”ビジネス”であり人材紹介会社にとって求職者の皆さんは”商品”である」という事実です。

人材紹介は正式には「有料職業紹介」といい、その名の通り、動物病院や企業に学生を紹介する代わりに、動物病院や企業から報酬をもらうという「ビジネス」です。報酬の金額の相場は年収の約3割~4割。つまり求職者が人材紹介会社を介して動物病院に入社することになりその病院での初年度の年収が300万円だったと仮定した場合、動物病院・企業は人材紹介会社に約100~120万円もの報酬を支払う必要があるのです。

このような仕組みを求職者に対してきちんと説明しない業者も多いようですが、利用する以上は、人材紹介ビジネスの仕組みは最低限理解したうえで利用しましょう。人材紹介は決して善意で皆さんに就職先を紹介してくれているわけではなく、ビジネスとしてお金を得るために就職先を紹介してくれているのです。

また、利用にあたっては以下の点に注意と理解が必要です。

1.人材紹介会社を介すると企業・動物病院の評価のハードルが上がりやすい

新卒の採用に年収の3割~4割もの報酬を支払うのは、企業・動物病院にとっては大きな負担です。
そのため「その報酬に見合うほど優秀な人物なのか」「長く勤めてくれるのか」という目で求職者をいつも以上に厳しく見る傾向があります。
また入社後も「あんなに高い報酬を払ったのだからもっと頑張ってほしい」「Aさんは直接応募だけど、Bさんは人材会社経由だから採用に大きなコストがかかっている…」といった厳しい目が向けられる傾向があります。

さらに、採用を決定する段階においても
・人材紹介会社に紹介されたからエントリーした人 と
・自分で求人情報などを探してエントリーしてくれた人
がいた場合、当然後者の方が主体的に動けて志望度も高く、自社のことをよく理解してくれている人材だと判断し、高く評価する傾向にあります。

このように、人材紹介会社経由で応募する場合は、情報収集や、実習のアポ取りで楽ができる代わりに、結果的に自らに高いハードルを課すことにもなりやすい、ということをよく理解しておきましょう。

2.人材紹介会社が勧める会社があなたにとってベストとは限らない

お金がからんだビジネスである以上、人材紹介会社としてはできるだけ多くの求職者を企業・動物病院に紹介して、紹介手数料という形でお金を稼ぐことが至上命題となります。担当者に厳しいノルマが課せられていることも多く、しつこく営業電話がかかってきたり、なかなか退会させてもらえないという経験をした人もいるのではないでしょうか。
ネット上を検索するとそのような口コミがたくさん出てきます。

人材紹介会社は1件でも多く案件を成約させるために、学生の皆さんには「あなたにぴったりの動物病院があります」「人間関係も労働環境もとてもいい職場ですよ」と甘い言葉をかけます。ですが実際には、人材紹介会社の担当者はその病院を訪問したことすらなく、院長先生と少し電話で話したことしかないようなケースも少なくないのです。
そのため、セールストークを信じて就職したら聞いていた話と全然違ったということも起こります。実際に弊社が把握する限りでも、人材紹介会社経由で就職したが早期に退職してしまったというケースをたくさん見てきました。そうして退職した求職者は、人材紹介会社にとって貴重な”商品”ですから、再度人材紹介会社がアプローチをしてきて次の就職先を紹介してくる、という”悪循環”にもなりがちです。

3.人材紹介会社を利用することで就職の選択肢を自ら狭めてしまう可能性がある

当然ながら、人材紹介会社があなたに紹介してくれるのは、人材紹介会社と契約をしている(高額なお金を払ってくれる)企業や動物病院に限定されます。動物業界、ペット業界では人材紹介会社を利用している企業、動物病院はまだごく一部であり、人気の企業や動物病院は人材紹介会社を使わなくても十分に人材が集まるため、人材紹介会社を利用していないケースも多いです。そのような「人材紹介会社を利用していない優良企業」を人材紹介会社が紹介してくれることは絶対にありません。人材紹介会社を利用する時点で、世の中にたくさんある就職先の選択肢を自ら狭めてしまうことになる、ということはよく理解しておきましょう。

「優良企業に厳選して就職先を紹介しています」という宣伝をしている人材紹介業者も多いですが、実態としてはこの業界では「厳選」できるほど、人材紹介会社を利用している企業、動物病院はなく、ビジネスである以上、「報酬を支払ってくれる」ということが最優先されるということを理解しておく必要があります。


もちろん人材紹介のシステム自体が悪いわけではなく、例えば経験豊富で特殊技能がある獣医師の方などが自分の技術を高く評価してくれる職場や特定の症例の経験が積める職場を探すケースなどでは人材紹介会社を使うことも有意義かもしれません。

しかし、まだ何者でもなく、どの分野に興味があるのかもわからない新卒や若手のうちから就職活動を人材紹介会社に任せきりにするのは、いささか他力本願すぎますし、就職活動を通じて学べることも少なくなってしまうのではないでしょうか。

日本国内の他業種の多くの企業を見てみても、新卒学生を雇うのに人材紹介を利用しているケースはほとんどありませんし、どんなに優秀な学生であっても、自らエントリー(応募)をして選考を受けるケースがほとんどです。

また例えば野球などのスポーツの世界は極めて専門的な職種ですが、経験を積んだ選手が代理人を通じて球団と交渉をすることはあっても新卒のルーキーがそんなことをするのは珍しいですよね。

語弊を恐れずに言うならば、新卒の学生が人材紹介会社を使って就職先を探すのは、まだプロになってすらいないルーキーの野球選手がいきなり代理人を立ててプロの球団と交渉しようとするようなものです。しかも球団はその代理人に高額の紹介料を払わなければならないとなると、球団側からしてみると、少し滑稽ですし生意気にも映りますよね。

最後は少し極端なたとえかもしれませんが、人材紹介を利用する、ということがどういうことなのかをぜひ自分の頭でよく考え、理解していただきたいと思います。

特に「新卒」というのは一生に一度しかない時期であり、その後の職業人生にも影響するとても重要なターニングポイントです。そこで自分に合った就職先を自ら探すという経験は、皆さんが社会人として歩んでいくうえでとても貴重な糧になるのです。

人生で一度しかない「新卒」の就職を台無しにしないよう「自分の道は、自分で探そう、自分で決めよう」という姿勢を大切にしていただきたいと思いますし、ペットリクルートはそんな皆さんをこれからも応援しています。